※この感想をまず、友人にチェックしてもらったトコロ、「紫陽花さんのストーカーこわい」と百点満点中マイナス百点を頂きましたので、謹んでアップさせて頂きたいと思います。失礼な。だれがストーカーだ。
ふと本屋さんに立ち寄ると、一冊のライトノベルが私の目に止まる。
『みかみてれんって観葉植物の話を書いてた人*1だよな~。興味あったけど、この人の作品読んだことないな~。』と思い、「竹嶋えく」の愛らしいイラストにも惹かれ、ちょうどいい機会だったので読んでみることにした。
そう、私は出会ってしまったのだ。
「わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ! (※ムリじゃなかった!?)」 に。
そして読後、私は心の底から後悔した・・・。
自分の運命を憎んだ・・・。
どうしてもっと早くこの人の作品に出会えなかったのか、と・・・。
そしてこのあと、みかみてれんの既刊本を読み漁ることになる。おかげで最近寝不足ぎみ。
そういうわけで、今回はみかみてれんと出会った始まりの書、わたなれについて語っていきたいと思います。
あらすじ
圧倒的主人公の面構え 甘織れな子
しかし、根が陰キャのせいで、憧れの陽キャ生活に馴染めず限界寸前に!
そんな時、我が校一のスーパースター・「王塚真唯」とひょんなことから、互いの悩みを共有してヒミツの友達に。いつか彼女の一番の友達になれたら・・・と思っていたれな子だったが。
「どうやら、私は君をひとりの女性として好きになってしまったようだ」
「・・・は?」
わたしが告白された相手はスパダリ呼ばわりされている女の子でした。
陰キャ少女と完璧ガールの互いの在り方をかけた「ノンストップ・ガールズラブコメディ」!
コメディのつよさ
この作品の特徴としてまず挙げたいのが、コメディがありえないくらいつよいこと。
とにかく会話の勢いと話のテンポがすごい。
例えるなら、「榛名湖メロディライン」をフルスロットルで走っているような爽快感。会話の勢いとテンポが制限速度超過で逮捕されるレベル。
真唯の隠れたポンコツぐあいは早々に露見し、唯我独尊っぷりに振りまわされながら、激しい口撃を咲き誇らせるれな子。お前自称陰キャのクセに、真唯と話してる時めちゃくちゃ多弁だな!?
なんやかんやで彼女らは、『恋人と親友どちらの関係が自分達にふさわしいかを、勝負で決める』ことにする。
と・・・このある意味シンプルで分かりやすい展開ながら、読むのをまったく飽きさせない登場人物達の掛け合い。セリフ回しがどこまでも面白く、みかみてれん節が光る。
例えばこの一幕
「・・・私が止めなければ、どんなことをお願いしてくるつもりだったんだ」
真唯がちょっと恥ずかしそうな顔をした。
なに。
「子を、孕んでもらおうかと、な」
「その棒ないだろお前!」
十六歳。甘織れな子。処女。まさかこんなことを叫ぶ日がくるとは思わなかった。
真唯はボケなのか 本気なのか謎だが(多分本気。愛があれば棒なんか無くたって孕めるはず)、それにしてもれな子の切り返しが全力すぎる。
結局お願いは、健全に『れな子をぎゅっとしたい』に。真唯のドヤ顔 VS れな子のジト目かわいい
次に真唯とれな子の妹が出会うシーン。意味の分からなさでは今年度優勝候補。
「君が、れな子の妹御か。はじめまして、王塚真唯だ。よろしく」
「いもうとご・・・? え、なに? エリザベス女王・・・?」
エリザベス女王て。と読書中ナチュラルにツッコむこと請け合いだろう。この物語、ボケに対してツッコミが少なすぎる。
イチャラブがすごい
自称ガールズ・ラブコメの名は伊達じゃない!
れな子と真唯の甘々な恋人関係と、友人同士の気さくな関係が同時に味わえる。一粒で二度美味しいどころか、夫婦漫才(?)のような激しい言葉の応酬で、三度も四度も美味しい。
「しかしれな子。好きな相手に告白してもらったのに親友のほうがいいとは、ずいぶんとひねくれた性癖じゃないか。付き合っていないカラダで関係を結ぶのがすきなのか? それは・・・不誠実じゃないか?」
こいつ話が通じねえ!
「バカ! なんでわたしがあんたのこと好きって話になってんの!」
「私のことを好きじゃない人がいると?」
「ああもうバカ! このバカ! 王塚真唯!」
なんて女だ
いやいやまて。イチャラブどこいった。
※読み終わる頃には、とてつもない甘さでキチンとおなかいっぱいになるので安心してください。
そして、メインキャラクターはれな子が所属するグループのメンバー5人。これがまた個性溢れる魅力的なキャラクターばかり。
れな子と真唯以外の三人を「かんたんに」紹介しておきましょう。
左(上)から紗月、真唯、香穂。左(下)から紫陽花さん、れな子
魅力的なキャラクターたち
黒髪美人の文学少女。口数がすくないながらもクール系ながらも、真唯に並々ならぬ対抗心を燃やすイケメン女子。切れ長の瞳で、陰キャのれな子をたびたび怖れさせる。大丈夫そんな怖い子じゃないよ! どうやらフォースを使って人の心を読みとれるらしい
グループのマスコットで妹的存在。八重歯が特徴的な、ぴょんぴょこ動きまわってそうな活発小動物系女子。髪留めを真唯のカラーにするほど真唯が推しで、あわよくば真唯のガールフレンドのポジションに座ろうとする。 真唯になら十六股されてもOKらしい。
「急に褒められても笑顔くらいしか出ないよ?」
みんなのおねえさん。というかワールドワイドでエンジェリック、通称紫陽花さん。
髪型は天使の羽バングという、前髪のサイドをくるりんと巻いた天使の羽のようなかわいいカールが特徴。右側のみの耳かけヘアで、チラリとのぞく耳が大人っぽさを演出している。前髪のカールとのバランスにより慈愛に満ちた聖母のようなオーラをかもし出してる。耳をチラリズムしてくれている髪留めさんホントにありがとう。キャラデザを担当した竹嶋えくに感謝せずにはいられない。髪留めのデザインは、花のあじさいがイメージらしく、ものすっっごく似合っている。切実にかわいい。
テレると赤くなるのがすぐに分かってしまうくらい、色素の薄いビードロのようなきめ細かい肌を持つ。友達へのボディタッチが多め。ぜったいすべすべしてる・・・!
綿毛のようなまつげに彩られた瞳を見つめてしまった者は、あまりの美しさに動けなくなるらしい。メデューサかなにか?
れな子いわく、『みんなの理想の女の子』らしい。分かりみがすごい。全人類が崇め奉ってもなんの疑問も感じない。紫陽花さんが誕生したことによって世界が平和になるのは当たり前のことだと思う。
登場序盤から「急に褒められても笑顔ぐらいしか出ないよ?」なんてニッコニコの微笑みとともにダブルピースを放ち、多くの読者をメロメロにした。はやくアニメ化して*2。その笑顔に百万円までならフツーに出すぞ。
えっ…こんな殺伐とした現代に生まれてきてもいいの???ってくらいに、ほわほわとしてフワフワとしたまるで妖精のような美少女。小説を読み進める中、紫陽花さんが登場すると文章から後光がさす。まぶしくて読めない。その笑顔は、荒んでいた人の心も完全漂白で浄化する。○王の洗剤もビックリの驚きの白さ。
グループの中では一番の良識人。その健全な考え方と判断力でみんなをひっぱっているが、良識的すぎるがゆえに真正面からの押しに弱い。最近グループ内の悪い女にひっかかりそうになってる。
家族関係は良好らしいが、悪ガキな弟くん二人に手を焼いてるらしい。でもかわいいと言いきる。心身ともにすこやかエンジェルかよ。
しかも弟くんたちを叱り、躾けるための『お姉ちゃんの裏ワザ』が天使、というか小悪魔。かわいくて大人っぽくて天使で小悪魔で妖精で人を誘惑する堕天使・・・???
天は二物を与えずと言うけれど、二物どころかもはや彼女に万物を与えてるんですが。紫陽花さんは万物
温厚篤実を絵に描いたような性格だが、意外とワガママで怒りん坊らしい。しかしそのワガママは体調が悪い友人を気遣うといったことに使われる。他人に気配りしながら、間違ってると感じたことはきちんと口にして叱ってくれる、とても友達思いの優しい子である。
友人の趣味の話にも、キチンと興味をもちながら聞いてくれる。話し上手で聞き上手。紫陽花さんと会話してる時のれな子はホント楽しそう。
余談ですが、『私も紫陽花さんとお話できたらな…』と遠くで見つめるだけで、声をかけられずにいるクラスメイトのモブ子に私はなりたい。高嶺の花に近づくことができない、道端に咲くたんぽぽになりたい。今なら紫陽花さんに憧れをいだくモブ子を主人公にしたドリーム小説が十冊くらい書けそう。
また、れな子いわく、紫陽花さんは「ぜったいに噛んだら甘い」らしい。激しく同意する。容姿が某星○珈琲店のふわふわのスフレパンケーキみたいだもん。・・・つまりスフレパンケーキを食すことで、実質紫陽花さんを食していることになるのでは???いや、噛むなんてそんな恐れ多いことできないけど。私がもし共感覚者だったらぜったい四六時中紫陽花さんを視ることで味を楽しんでる。何言ってんだ。
物語中盤、紫陽花さんとれな子はふたり仲良くデートに出かける(女の子はなにかとすぐにデートって言うから良い)。デパコスを見に行った先で、ここでも紫陽花さんのかわいさが爆発する。というか読者の心臓が爆発する。本編を読んで頂いた方は分かると思いますが、夏色新作リップのシーンです。はい。私の心臓はこのシーンだけで七個爆発しました。全編通して二十個くらい消費した。なお、紫陽花さんのシーンだけでこの数なので実際の累計はもっと増えます。まだ読んでいない方は早く見ましょう。死にます。
そしてれな子と一緒になってゲームをしている紫陽花さんは信じられないくらいかわいい。ゲームでびっくりしてうっかり叫んでテレるとか・・・、なにこのかわいい生き物。悲鳴までかわいい。しかもゲームが上手いれな子をナチュラルに褒め倒し、「グループのみんなもいい子達ばかり。」だと褒めるおねえさん目線がつよい。さいきょう。まぁ、あながち間違いでも気がするが、真唯がいい子・・・?
そして、れな子はちゃっかり、次に紫陽花さんの家にお邪魔する口実ができてる。もし次巻にて、れな子が紫陽花さんの家に上がるとなると、嵐が巻き起こる予感しかしないのである。色々と紫陽花さんの今後が心配になってきた。
なぜか、れな子のネガティブ妄想中はたびたび毒舌キャラとなる。『は、うざ・・・勘違いしないでくれる? 陰キャが』とか紫陽花さんの声で言われたら私は一体どうなってしまうんだろうか。・・・あ、なんか新たな扉が開きそう。
・・・それはそれでアリなのでは。・・・アリ寄りのアリだな!
さて、一読者にここまで愛されている紫陽花さんですが、残念なことに彼女はメインヒロインではありません。メインヒロインは真唯です。
しかし、そのおかげでみんなのおねえさん『紫陽花さん』というポジションを獲得して、全人類から愛されているので、これについては喜ばしいことでしょう。
グループ内の悪い女(〇〇〇)に引っかかりそうなのが気になりますが・・・!それについては、これからの展開を温かく見守っていくしかないですね。
紫陽花さんがどうかいつまでも幸せに過ごせますように・・・!
以上。
まとめ
れな子と真唯のラブコメディの勢いもさることながら、紗月や香穂や紫陽花さんと紫陽花さんと紫陽花さんといった魅力的な登場人物が物語を彩る。
主人公のれな子は、他の魅力的なキャラに囲まれたら、地味で平凡かもしれません。しかし、彼女には人を気遣う優しさがあります。
そして、そんな彼女が精いっぱいに、いっぱいいっぱいになりながらも、全力で真唯や友人らに向き合おうとがんばる姿は、見ていて応援したくなっちゃいます。
真唯はスパダリと言われながらも、妙に抜けているというか、憎めないキャラなので見ていて楽しい。
お前のようなスパダリがいるか!ってくらいムリめな設定マシマシの二郎系ラーメンみたいな完璧超人キャラだが、惚れたれな子には勝てない。
どうしても最後まで押し切れないもどかしさと、煮えきらなさがめちゃくちゃかわいい。
ガールズラブコメディはこれからもドンドン増えていって欲しいので、この作品もつづけてドンドン応援していきたいと思います。
『かわいい女の子×かわいい女の子は二倍かわいい』どころか、∞かわいいと思った一冊でした。